プロローグ
はじめに プロローグ
建築の起源は人間が住まう場として人の手によってつくられた空間である
時代が移り、その用途は多様化し、建築様式も移りかわり現代では科学技術が
リードする様相に見えるが、人間の存在を無視することはできない
人間は選択、選別をし、思考する唯一の動物であり、不可能を知り不幸を感ずる
人間は美しいものを美しいと感じ、建築においても美しさを求める
機能だけを優先し、美しさを意識しないでつくられた建築があったとしても、
時間を経てその美しさを感じる場面は多くある
しかし、美しさは他のものの存在という相対関係があって生ずるものでもある
誰もが美しいと感じる建築はないが、桂離宮を美しいと見る人は多いと思う
ドイツ人建築家ブルーノ・タウトが「日本建築の世界的奇跡」と絶賛した裏には
時代を経て増改築されて生まれた美、そして御殿を中心にした茶室群との関係、
建物と調和する庭園など建物を取り巻く環境と関係して美しいと感じる
しかし、見方を変えれば俗悪建築になる要素は大いにある
ブルーノ・タウトは桂離宮を機能的建築、或いはまた合目的な建築であると最後の
印象として言い残し、日本を去った
ブルーノ・タウトはまた伊勢神宮をアクロポリスのパルテノン神殿にも比肩できる
最高の建築と語ったが、それは一建築のあり方であるため、その美しさを見つける
ことはかえって難しいようにも思える しかし美しい建築の極限であろう
建築家丹下健三は「美しいもののみ機能的である」という
建築の美しさはフォルム、デザインから感ずるだけではなく、その建築が存在
することの本質に見ることが多い
また、美しさは人の内面で感じることであり、見る人の心理的要素が大きい
古代ギリシャの詩人サッフォーは、人間が愛するものこそが最も美しいという
建築が人間に“美しさ”感じさせることは設計の重要なテーマである
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