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01.アテネ

アクロポリスからアテネ市内[ギリシャ]

私が最も多く訪れた国はギリシャで、これはオリーブオイルの取引量が最大であるためです。始めて出会ったギリシャ(神殿)建築からは感動を受けました。しかし、何度と訪れるうちに二千年以上経過したパルテノン神殿がドリス式オーダーの代表格として、エレクテイオンがイオニア式オーダーの美を極めたものと建築史的には認めるものの、神殿という機能からか、今の私には到底理解できないことも感じてきました。

しかし、アテネの古代市域の中央に位置するアクロポリスはアテネ市民にとって象徴的な存在であり、訪れる人に感動を与えるものであることは間違いありません。

 

アクロポリス、中でもパルテノンは紀元前の構築物であるが今も建築における特別な存在であり、そのデザインの体系はその後の多くの建築に影響を与えています。

ここはいつ訪れても復元工事の途中であり、建築家磯崎新はその著「建築談議・アクロポリス」の中で写真家篠山紀信とどのような写真にするかについて、あえて工事の足場がかかっていても、今の瞬間を撮れればよいとして美しい写真を残しています。

ギリシャの土壌は石灰岩が多く、アクロポリスは海抜150mの石灰岩の岩山にあります。
   アクロポリスに棲む猫

ところで、ギリシャ人はオリーブを愛する国民ですが、オリーブはその土地の気候風土に適した品種があり、ギリシャにはこの石灰質の土壌と相性の良いオリーブ品種コロネイキがあります。  コロネイキはギリシャ全土の60%以上で栽培されている品種で、搾られたオリーブオイルはバランスの良い味わいで、酸化に強い理化学的特性を示します。ギリシャはオリーブオイルの生産量ではスペイン、イタリアに次ぐ国ですが、その品質に優れていることはギリシャ人の誇りでもあります。

 

アクロポリスの頂上は東西約300mの平坦な地面でパルテノン、エレクテイオン、アテナ・ニケの三つの神殿が置かれており、アテネ市内が一望できます。(右写真)アクロポリスから見下ろした緑の中にたたずむヘファイストス神殿はギリシャで最も保存の良い状態で残された神殿で、建てられた時期はパルテノンよりわずかに前と言われています。(BC449444) 
パルテノンの正面左手に立つエレクテイオン神殿の前に一本のオリーブの木があり、この優美な神殿とオリーブの木の重なりがギリシャ的な美しさを見せてくれます。

神殿建築を巡るうちに一般市民が生活する街並みなどにも美しさを発見するようになってきました。

アクロポリスから下った東側に私の好きな路があります。観光客であふれる場所を少しズレただけで、ここはアテネの安らぎを感じさせてくれます。

ギリシャが経済危機に陥り10年が経過しました。昨年(2018)には支援脱却し、回避された報道も聞かれますが、アテネ市内の建築物も廃墟化、シャッターの降りた商店等が目立ち、完全な立ち 直りにはまだ時間がかかるかと思われますがこの場景も今ではアテネらしさかと思っています。
しかし、市内に悲壮感は全くなく、ゆったりとした時間を楽しむ市民の姿が印象的です。ギリシャ人はギリシャ哲学の思想を持って騒がず慌てずなのか、自殺率も日本の1/3程度とか。
どこの国もそうですが、アテネも猫の多い街です。
 国会議事堂とシンタグマ広場
シンタグマ広場とライトアップされたアクロポリス

アテネ空港のトイレもブルーと白のギリシャカラーでリニューアルしました。女子トイレはエンジと白だそうです。

観光立国であるギリシャですがアテネからタクシーに乗ると必ずと言ってよいほどぼったくられるのが当たり前、しかし2018年から空港から市内までは38ユーロの一律料金になりました。市内の治安は良くなったとはいえ、夜や人通りの少ない路地などはまだ危険を感じます。

夕暮れ時は私にアテネを最も美しく見せます。
時間の流れがゆったりして、仕事も忘れ、ただ自分がそこにいることだけを感じる時です。
そしてアテネの長い夜は楽しい。
アテネに私がよく立ち寄るワインバーがあります。そこのワインは全てがギリシャ産ワイン。ボトルの小売りもしてくれるので気に入ったワインを買ってかえることもありますが、日本に持ち帰るとなぜか味わいが変わるのはいつものこと。
そして、しめにラキやウゾといったブドウからつくる強い蒸留酒を飲みます。ラキは好きですが、ウゾはアニスという植物で香り付けした酒で、私には苦手です。

アテネは中心の丘に紀元前からのアクロポリスが存在することが他に例を見ない都市のプランですが、その周囲に点在する遺跡も街にとけ込み、アテネの魅力を広げています。

株式会社酒井建築設計事務所
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1. 建築・インテリアの設計監理
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